前回はちょっととっつきづらい、e-Taxのメリット・デメリットについて解説してきました。
2020年度分の確定申告から、青色申告をされる方はe-Taxを導入すれば控除額が10万円増えるということで、e-Taxによる確定申告の必要性が理解できたと思います。
理解を深めたところで、今回はいよいよe-Taxの導入方法について解説していきます。
e-Taxの理解は深めたけど、めんどくさそう。。私にも出来るの?
そう不安に感じる方もいると思いますが、私がわかりやすいように導入方法を解説するので大丈夫です。
安心してついて来てください^^
まずはこの記事から読み始めた方へ向けて、メリット・デメリットを簡単におさらいしていきます。(前回の記事を十分理解できたからは、飛ばしていただいて大丈夫です。実際の導入編から読み進めてください。)
e-Taxのメリット(おさらい)
- インターネットで完結
- 添付書類を省略できる
- 24時間利用可能
- 早めに申告ができる
- 還付のスピードが早い
- 青色申告者は控除額が10万円アップ
e-Taxを利用すると省略できる添付書類
- 給与所得者の源泉徴収票年金受給者の源泉徴収票
- 社会保険料控除の証明書
- 生命保険料控除の証明書
- 地震保険料控除の証明書
- 住宅ローン控除の借入金年末残高証明書(2年目以降)
- 医療費控除の領収書
- 寄付金控除の証明書
- 特定口座年間取引報告書
- 雑損控除の証明書
※ただし、各書類は5年間保管し、税務署から提出や提示を求められた際には応じる必要があります。
メモ
2019年4月1日以後の申告書の提出の際、源泉徴収票等の添付が不要となりました。(郵送、直接提出含む)
下記の書類は保存義務もなくなりました。
【添付が不要となる主な書類】
- 給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票
- オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
- 配当等とみなす金額に関する支払通知書
- 上場株式配当等の支払通知書
- 特定口座年間取引報告書
e-Taxでは確定申告期間中、24時間申告書の提出が可能で早めに申告できる。
2020年(令和2年)のe-Tax利用可能時間は、以下のとおり。
期間 | e-Taxの利用可能時間 |
2020年1月6日(月)〜3月31日(火) | 24時間(土日祝日を含む) 月曜日だけは午前0時~8時30分でメンテナンス |
(通常、税務署での確定申告は2/16~3/15が受付期間。)
e-Taxで申告された還付申告は、1~2月に申告すると2~3週間、3月に申告すると3~4週間で処理されます。(通常の書面提出による申告の場合は、還付まで1ヶ月〜1ヶ月半の期間かかる。)
e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行うと、青色申告特別控除の控除額が55万円から65万円に引き上げられ、10万円控除額を増やすことができます。
e-Taxのデメリット(おさらい)
- 事前準備が必要
- ICカードリーダーの購入が必要
- システムの理解・準備に時間がかかる
- 住宅ローン控除のみだとメリットは低い
役所に行って、電子証明書を付与したマイナンバーカードを交付してもらう必要がある。
マイナンバーカードを読み込むためのICカードリーダーが必要となる。
e-Taxのシステムの理解と準備が必要。
e-Taxの導入方法
いよいよe-Taxの導入方法を解説していきます。
e-Tax導入手順
- マイナンバーカードを取得する
- ICカードリーダーを購入する(もしくは対応スマホを用意)
- e-Tax関連のソフトをパソコンにインストールする
- e-Tax対応の会計ソフトでe-Tax用の確定申告データを作成する
- e-Taxソフトで申告する
step
1マイナンバーカードを取得する
マイナンバーカードを取得するには、役所に申請して交付してもらう必要があります。
マイナンバーカードを申請するには、通知カードと一緒に送られてきた交付申請書が必要です。
交付申請書を持っていない場合は、手書き用の交付申請書と封筒をダウンロードして郵便で申請するか、市区町村窓口で申請する必要があります。
※マイナンバーカードの交付には約1ヶ月程度かかりますので、今年の確定申告に間に合わないかも知れませんが、来年の確定申告に向けて早めに取得しておくと良いと思います。
交付申請書とは、通知カードと一緒に送られてくる通知カードの下の部分です。
申請方法は以下の6種類ありますので、やりやすい方法を選んでください。
6つの申請方法
※交付申請書を持っている場合
①郵送による申請
マイナンバーカードの交付申請書に本人の顔写真を貼り、送付用封筒に入れて郵便ポストへ
②スマートフォンによる申請
スマートフォンで顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請
③パソコンによる申請
デジタルカメラで顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請
④まちなかの証明写真機からの申請
申請書を持参して、申請可能な証明写真機で顔写真を撮影して申請
※交付申請書をもっていない場合
⑤郵送による申請
手書き用の交付申請書と封筒をダウンロードして、郵便で申請。
⑥市区町村窓口で申請
証明写真と本人確認書類(免許証等)を持参して、市区町村窓口で申請。
私は交付申請書を持っていなく証明写真が手元にあったので、市区町村窓口での申請を選びました。
交付申請書を持っていない場合は、市区町村窓口での申請の方が郵送よりも分かりやすく手間も省けると思います。
交付申請書を持っているならスマホによる申請が一番手軽でスピーディーです。
交付申請書を持っていて写真が上手く取れないなら、証明写真機から申請するのが良いかと思います。
私の選んだ市区町村窓口での申請方法は以下のとおりです。
市区町村窓口での申請方法
持っていくもの
- 通知カード
- マイナンバーカード交付申請書(持っていない場合は再発行してもらう)
- 印鑑(認印可、自署できれば無くても可)
- 本人確認書類(免許証等)
- 証明用顔写真1枚(直近6カ月以内に撮影した、正面、無帽、無背景のもの)(写真は窓口で撮影できる所もある)
①これらを持っていき、マイナンバーカードの窓口で手続きをします。
②申請から1ヶ月後、市区町村から「交付通知書」が届く
③「交付通知書」と「通知カード」「本人確認書類(免許証等)」を持って、市区町村の窓口にいく。
④暗証番号とパスワードを決めます。
署名用電子証明書=英字と数字の両方を組み合わせて、6文字以上16文字以下のパスワード
利用者証明用電子証明書・住民基本台帳用・券面事項入力補助用=数字4桁の暗証番号(共通の暗証番号になります)
※赤いラインの証明書の暗証番号・パスワードがe-Taxでは必要になります。
⑤これらが済んだら、無事マイナンバーカードが交付されます。
もうひとつ、一番手軽なスマホでの申請方法も解説しておきます。
スマホでの申請方法
①スマホで顔写真を撮る。(写真を撮る際の注意事項は下記のとおり。)
- 顔は正面
- 無背景
- ピンボケ、手ブレしてない
- 帽子、サングラスはしない
- 最近6ヶ月以内に撮影
②スマホで交付申請書のQRを読み取り、以下の項目を入力する。
- 申請書ID(半角数字23桁)
- メール連絡用氏名
- メールアドレス
③登録したメールアドレスにメールが届くので、記載されているURLをクリックして、写真を登録する。
④申請情報を登録する。
- 生年月日
- 電子証明書発行希望の有無
- 氏名の点字表記希望
これでスマホによる申請は完了しました。
後は、
⑤申請から1ヶ月後、市区町村から「交付通知書」が届く
⑥「交付通知書」と「通知カード」「本人確認書類(免許証等)」を持って、市区町村の窓口にいく。
⑦暗証番号とパスワードを決めます。
署名用電子証明書=英字と数字の両方を組み合わせて、6文字以上16文字以下のパスワード
利用者証明用電子証明書・住民基本台帳用・券面事項入力補助用=数字4桁の暗証番号(共通の暗証番号になります)
※赤いラインの証明書の暗証番号・パスワードがe-Taxでは必要になります。
⑧これらが済んだら、無事マイナンバーカードが交付されます。
step
2ICカードリーダーを購入する
マイナンバーカードが準備できたら、次はマイナンバーカードをパソコンで読み込むための、ICカードリーダーを用意する必要があります。
ICカードリーダーには「接触型」と「非接触型」がありますので、ご自身の利用目的にあったものを選ぶと良いでしょう。
e-Taxのみで使用するなら私が購入した下記のICカードリーダーがオススメです。
「NTTコミュニケーションズ 接触型 USBタイプ ICカード リーダーライター ACR39-NTTCom」
[itemlink post_id="1374"]
こちらはほぼe-Taxでの使用でしか使いみちがありませんが、価格を考えたら良い選択だと思います。OSは、Windows、Macどちらにも対応しています。
他の候補は
「サンワサプライ 接触型ICカードリーダライタADR-MNICUBK」
[itemlink post_id="1376"]
ACR39-NTTComと同じ接触型でe-Taxでの使用目的のみ。OSは、Windows、Macどちらにも対応しています。
「ソニー PaSoRi RC-S380」
[itemlink post_id="1377"]
非接触型のICカードリーダーで、e-Taxの他に、各種電子マネーの残高確認やチャージ、ネットショッピング決済などに利用可能。OSは、Windowsのみに対応してます。
また、現在はICカードリーダーを購入しなくても、スマホでマイナンバーカードを読み込めるようです。(対応スマホのみ)
スマホでマイナンバーカードを読み取る方法
スマホをICカードリーダー代わりとして使えるのはAndroidのみ
①対応スマホかどうかを確認する
マイナンバーカード対応NFCスマートフォンの一覧 | 公的個人認証ポータルサイト
②Bluetoothアダプタを用意する
スマホで読み込むためには、対応したスマホの他に、Bluetoothを搭載したパソコンが必要になります。
今のノートパソコンはほとんどBluetoothを搭載してるので問題ありませんが、デスクトップの場合はBluetoothを搭載してないことが多いので、「Bluetoothアダプタ」を別途購入する必要があります。
[itemlink post_id="1382"]
③専用アプリをインストールする
JPKI利用者ソフト Androidアプリ(Google Play)
スマホもパソコンもBluetoothをonにしてペアリングする。
これでスマホ(Androidのみ)をICカードリーダー代わりとして使用する準備が整いました。
step
3e-Tax関連のソフトをパソコンにインストールする
マイナンバーカードとICカードリーダーが準備出来たら、後はパソコンで作業するだけとなります。(最初はこれがややこしくて、どのソフトをインストールすればいいのかわかりませんでしたが、私の経験を踏まえ、簡単に解説します。)
インストールする2つのソフト
パソコンには専用のe-Tax関連のソフトを2つインストールします。
①JPKI 利用者ソフトのインストール
こちらのソフトはマイナンバーカードを読み取るためのソフトです。
ダウンロードはこちらから(利用者クライアントソフトのダウンロード)

引用元:地方公共団体情報システム機構
Windowsの場合

引用元:地方公共団体情報システム機構
Macの場合

引用元:地方公共団体情報システム機構
ダウンロードが完了すると、「公的個人認証サービス」というものが追加されます。
操作するのは「ICカードライタ設定」のみ。
(JPKI利用者ソフトは起動すると、ICカードリーダーの動作確認と、マイナンバーカードの情報を確認できます。)
ICカードライタ設定を起動すると、下記のようになりますので、接続したICカードリーダーを選び設定をクリックします。
(Bluetooth対応の場合は、Bluetooth対応から選びます。)
②e-Taxソフトのインストール
こちらはe-Taxで申告するためのソフトです。
(e-Taxでの申告は、ソフトではなくWebでもできますが、ややこしいのでソフトでの申告のみ解説します。)
インストールが完了すると、「e-Taxソフト」が追加されているのが確認できます。
「e-Taxソフト」をクリックして起動します。
起動するとインターネットに接続するか確認させるので「OK」をクリック。
追加インストールするか確認されるので、「追加インストール」をクリック。
必要そうな項目にチャックを入れて「インストール」をクリック。
(私の場合、どれにチェックをすればいいのかわからなかったので、とりあえず、ほぼ全てにチェックを入れてインストールしました。。一個一個追加でインストールする仕様なのでかなり時間がかかります。他の作業をしながら気長にやりましょう。)
インストール項目のファイルを取得中。
実行するか確認されるので、「実行する」をクリック。
(複数を追加インストールする際は、この「実行する」を何度もクリックする必要があります。)
インストールが完了すると、以下の画面が表示されるので、完了をクリック。
追加インストールが完了すると、無事「e-Taxソフト」が起動されます。
step
4e-Tax用の確定申告データを作成する
つづいて、e-Tax用の確定申告データを作成します。
(ここでは、e-Taxに対応した会計ソフトを使用します。)
私の把握しているe-Taxに対応した会計ソフトは以下のとおり。
以降は、私の使用しているクラウド会計ソフトfreeeで解説していきます。
freeeの確定申告機能は、簿記の知識のない私でも簡単に確定申告の書類を作成できました。
日々の帳簿付けもfreeeで行っています。
日々の帳簿付けについて少し解説
特徴①銀行口座やクレジットカードは同期すれば自動入力!
面倒な1年分の経費の入力も、銀行口座やクレジットカードを同期すれば自動で入力できます。日付や金額だけでなく、勘定科目を推測して自動入力してくれるので大幅に手間を省くことができます。

画像はfreeeより
特徴②簿記を知らなくてもカンタンに入力できる!
現金で払った場合でも、いつ・どこで・何に使ったか、家計簿感覚で入力するだけで大丈夫です。自動的に複式簿記の形に変換してくれるので、簿記を覚えなくても迷わず入力することができます。

画像はfreeeより
私は、有料のスタータープラン(月額1,180円)を利用しています。
副業含め、ほそぼそと個人事業でやっているならスタータープラン。
個人事業でありながら従業員がいる方は、スタンダードプラン以上といった感じです。
freeeの確定申告機能は簡単で、ステップに沿って入力するだけで、簡単に確定申告書類の作成が完了します。

画像はfreeeより
面倒な税金の計算も、質問に答えるだけで出来てしまいます。

画像はfreeeより
詳しいやり方は、freeeのヘルプセンターで解説してくれています。
e-Taxで申告する上で重要なのは、提出方法をe-Taxにすること。

画像はfreeeより
そして、e-Tax用のID「利用者識別番号」を取得する必要がありますので、オンラインで「利用者識別番号」を取得します。

画像はfreeeより
利用者識別番号の取得手続きはこちらから【開始届出(個人の方用)新規】
必要事項を記入していけば、電子申告・納税等開始届出書を提出できます。この届出書を提出すると、e-Taxを利用するための利用者識別番号が発行されます。

引用元:国税庁
利用者識別番号が発行されたら、忘れないようにメモしておきましょう。
freeeに戻って、利用者識別番号を入力します。
すべての項目が入力できたら、「e-Tax用のファイルをダウンロードしましょう」で、e-tax用ファイルをダウンロードします。(決算書・確定申告書が一つのファイルになっています)
ダウンロードしたファイルは、「.xtx」という拡張子になっています。
step
5e-Taxソフトで申告する
いよいよ最後です。最後はe-Taxソフトで申告をします。
e-Taxソフトを起動すると下記のような表示が出ますので、「マイナンバーカードを利用する」を選択して「次へ」をクリック。
「OK」をクリック。
マイナンバーカードをICカードリーダーにセットして、「次へ」をクリック。
利用者識別番号、利用者氏名を入力し、「保存」をクリック。
利用者を選択し、「作成」→「申告・申請等」→「組み込み」をクリック。

画像はfreeeより
ダウンロードした「.xtx」ファイルを指定し、申告・申請等名を入力(わかりやすいようにする)すると、作成したファイルの取り込み(組み込み)が行われます。

画像はfreeeより
取り込んだ書類を開いて、正しく情報が連携されているか確認します。追加・修正したい項目があれば、e-Tax上で修正します。
マイナンバーが記載されていないので、忘れずに追加しておきましょう。

画像はfreeeより
内容を確認したら、「電子証明書」を利用して申告・申請データへ署名を行い、それぞれデータを送信します。
「確認」ステップで表示された納税額を、選択した方法で納付します。
出来るだけ分かりやすいように解説してきましたが、抜けがあるかも知れません。
e-Taxソフトについて、もしわからないことがあれば、e-taxのサイトをご覧ください。
もしくはコメントにて。
※私はfreeeでe-Tax用のデータを作成しましたが、freeeなら直接申告が出来たようですね。来年はfreeeからの直接申告を試してみます。 freeeで所得税の電子申告を行う(Windows)
以上、e-Taxでの確定申告でした。少しでも参考になれば幸いです。