2020年度 確定申告の悲報と朗報
今年も確定申告の時期が来ました。
皆さんは確定申告はもう済みましたか?
この記事を読んでいる読んでいる方は、これから確定申告をする方、確定申告の準備をしている途中という方が多いのではないでしょうか?
これから確定申告をしようとしている方に、悲報と朗報があります。
まずは悲報から。
2020年の確定申告(2020年度分)から、e-Taxを利用しない青色申告(郵送や税務署での直接提出)は、これまでの65万円控除から55万円の控除に10万円減額されます。
青色申告特別控除は自営業者らが利用できる控除の仕組みで、控除額はいまは最大65万円だ。会社員向けの給与所得控除の額にあわせており、今回の一連の所得税改革に伴い、給与所得控除は10万円引き下げる。青色申告特別控除の控除額も55万円に減る。
※日経の記事を引用
次に朗報です。
青色申告特別控除の控除額は55万円に減りますが、基礎控除額は38万円から48万円と10万円増額されます。
これによって、全体の控除額は今までと変わらなくなります。
結局は損も得もないのですが、、、
e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行うと、青色申告特別控除の控除額が55万円から65万円に引き上げられ、10万円控除額を増やすことができます。
図で表すと以下のようになります。
e-Taxとは?
そもそもe-Taxとはどういったものなのでしょうか?
e-Tax(イータックス)の正式名称は「国税電子申告・納税システム」と言い、2004年から国税庁が行政手続コスト削減を目的に導入しました。
e-taxを利用すると、インターネット経由で青色申告、所得税、法人税の申告などを行えます。
e-taxのメリットは下記のとおり。
e-Taxのメリット
- インターネットで完結
- 添付書類を省略できる
- 24時間利用可能
- 早めに申告ができる
- 還付のスピードが早い
- 青色申告者は控除額が10万円アップ
1.インターネットで完結
e-Tax以外の確定申告の方法は、これまで、郵送か税務署での直接提出でした。
しかしe-Taxを利用すれば、わざわざ税務署に行く必要はありませんし、郵送の為に申告書類を印刷したり切手を貼って郵便局に行く必要がありません。
自宅を出ずに、パソコン一つで完結出来るのは大きなメリットかと思います。
2019年からはスマホでも確定申告が出来るようになりました。
2.添付書類を省略できる
これまで、郵送や税務署での直接提出の際は、サラリーマンやアルバイトなど給与を受けている場合「源泉徴収票」や、医療費が多くかかってしまった場合「医療費控除の領収書」の添付が必要でした。
しかしe-Taxを利用すれば、これらの添付書類を提出する必要がありません。
いちいち糊で添付用紙に貼り付ける手間から開放されるのは嬉しいですね。
e-Taxを利用すると省略できる添付書類
- 給与所得者の源泉徴収票年金受給者の源泉徴収票
- 社会保険料控除の証明書
- 生命保険料控除の証明書
- 地震保険料控除の証明書
- 住宅ローン控除の借入金年末残高証明書(2年目以降)
- 医療費控除の領収書
- 寄付金控除の証明書
- 特定口座年間取引報告書
- 雑損控除の証明書
※ただし、各書類は5年間保管し、税務署から提出や提示を求められた際には応じる必要があります。
メモ
2019年4月1日以後の申告書の提出の際、源泉徴収票等の添付が不要となりました。(郵送、直接提出含む)
下記の書類は保存義務もなくなりました。
【添付が不要となる主な書類】
- 給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票
- オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
- 配当等とみなす金額に関する支払通知書
- 上場株式配当等の支払通知書
- 特定口座年間取引報告書
3.24時間利用可能
通常、税務署での確定申告は2/16~3/15が受付期間ですが、e-Taxでは確定申告期間中、24時間申告書の提出が可能です。
2020年(令和2年)のe-Tax利用可能時間は、以下のとおり。
期間 | e-Taxの利用可能時間 |
2020年1月6日(月)〜3月31日(火) | 24時間(土日祝日を含む) 月曜日だけは午前0時~8時30分でメンテナンス |
4.早めに申告ができる
上記の表のとおり、確定申告は2/16~3/15が受付期間ですが、e-Taxでは1月上旬から申告が可能です。
早めに確定申告書類の作成が完了すれば、2月中旬まで待たなくても申告手続きが済ませられます。
早めに確定申告書を作成したけど、提出を忘れてしまった。。。なんてことがなくなるのは良いですね。
私は2/4に済ませました。
5.還付のスピードが早い
e-Taxで電子申告すれば、還付される税金がある場合に処理手続きが早くなります。
e-Taxで申告された還付申告は、1~2月に申告すると2~3週間、3月に申告すると3~4週間で処理されます。
(通常の書面提出による申告の場合は、還付まで1ヶ月〜1ヶ月半の期間かかる。)
還付がスピーディーに行われるのは嬉しいですね。
6.青色申告者は控除額が10万円アップ
これは、最初に解説したとおり。
e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行うと、青色申告特別控除の控除額が55万円から65万円に引き上げられ、10万円控除額を増やすことができます。
反対に、デメリットは下記のとおり。
e-Taxのデメリット
- 事前準備が必要
- ICカードリーダーの購入が必要
- システムの理解・準備に時間がかかる
- 住宅ローン控除のみだとメリットは低い
1.事前準備が必要
e-Taxを利用するためには、いくつか事前に準備することがあります。
これらが手間だと感じてこれまでe-Taxを利用してこなかった方がほとんどだと思います。
まずは役所に行って、電子証明書を付与したマイナンバーカードを交付してもらう必要があります。
(詳しくは、e-Taxの導入方法編で解説します。)
今年からe-Taxを導入した私もそうでしたが、やっと昨年重い腰を上げてマイナンバーの交付を受けました。
2.ICカードリーダーの購入が必要
e-Taxを利用するには、マイナンバーカードを読み込むためのICカードリーダーが必要となります。
ICカードリーダーの価格は、2,000円~5,000円程度とそこまで高くはないですが、通常使用するのは年1回の確定申告のみだと考えると、安くもありません。
このあたりで購入を迷われる方が多いと思います。
(e-Taxの導入方法編でおすすめのICカードリーダーについて解説します。)
メモ
ちなみにICカードリーダーは、機種によりますが、確定申告だけでなく下記のような利用方法もあります。
電子マネーの残高照会やチャージ、乗車履歴の確認。ネットショッピングやパソコンからテレビを見る際のB-CASカードとして。
3.システムの理解・準備に時間がかかる
ここまでは準備したけど、e-Taxのシステムが理解できなくてつまずく方は多いと思います。
実際私も、今年のe-Taxを利用した確定申告の際には2度ほど挫折しかけました。
e-Taxの利用者数を増やそうとしている現状をみると、今後はよりわかりやすく改善されていくかもしれませんが、残念ながら、現状、民間のWebサービスのように、ユーザーが使いやすいように設計されてはいません。
しかし、一度わかってしまえば、「なんだそういうことか」となりますので、安心してください。
(詳しくは、e-Taxの導入方法編で解説します。)
4.住宅ローン控除のみだとメリットは低い
ここまでe-Taxについて解説してきましたが、前提は個人事業主や複数の収入を得ている方(副業など)で、青色申告をする方向けとしてお話をしてきました。
サラリーマンで住宅ローンの控除の為だけに確定申告をする方には、e-Taxはあまりおすすめできません。
理由は以下のとおり。
- 添付書類が多いと、書面で提出のほうが楽
- 2年目は年末調整で
e-Taxを利用する場合、一部の書類が添付不要になりますが、書類に記載されている内容を入力する必要があります。
提出書類が不要なのはいいのですが、内容を記載し直す手間を考えるとコピーをする方が早い場合もありますので、1年目の住宅ローン控除の場合は、書面で提出するほうがe-Taxより楽な可能性があります。
さらに、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除ができますので、確定申告を行う必要はありません。
よって、マイナンバーカードの取得、ICカードリーダーの購入、PC環境を整える手間や費用を考えると、住宅ローン控除のためだけにe-Taxを利用するのは現実的ではないと思います。
最後に
これまでe-Taxは、事前準備など手間がかかるため普及率は伸び悩んでいました。
おそらく多くの方は「めんどくさそう」というイメージから、郵送や直接税務署に出向いて提出をしていたことだと思います。
私も同じくめんどうと思っていましたが、やっと昨年、e-Taxのためにマイナンバーカードの交付を受け、ICカードリーダーを購入し、2019年度の申告のために準備をしはじめました。
そして今年(2019年度分)の確定申告は、無事e-Taxでの申告を済ませたところです。
2020年度分からは控除額が10万円アップするので、まだe-Taxを利用してない方は、是非e-Taxを導入を考えてみてください。
時間に余裕があるなら、来年に向けて、今年の申告からe-Taxを利用してみるのもいいと思います。
続きはこちらの「e-Taxの導入方法編」で、私の体験と感想も踏まえ、e-Taxの導入方法を解説させていただきます。